21%が世界遺産の島
屋久杉(やくすぎ)の自生する屋久島(やくしま)は、鹿児島県の南西約60kmにある島で、その90%が森林を占めています。
中央山岳部の高山は、巨大な花崗岩が隆起して形成され、島の中央部には、日本百名山の一つで九州地方最高峰、標高1936mの宮之浦岳がそびえ立ちます。
日本一を誇る雨量で、海からの湿った風が急峻な山々にぶつかり、「1ヶ月に35日は雨」と言われるほど大量の降雨をもたらすため、山は深い渓谷が刻まれ、140もの河川が放射状に広がっています。
屋久杉自生林など、島の面積の約21%が、1993年に自然遺産としてユネスコの世界遺産に登録されました。
日本を代表する貴重な木材
屋久杉(やくすぎ)は、この屋久島に自生するスギで、樹齢1000年以上のものを指します。
通常、杉の樹齢は長くても500年程度ですが、栄養の少ない花崗岩の島に生える屋久杉は成長が遅く、木目(もくめ)が詰まっていることに加え、降雨が多く湿度が高いため、樹脂分が普通の杉の6倍と多く含まれ、腐りにくい特徴を持ち、樹木の寿命が長いといわれています。
価値の高い屋久杉は、古くは1728年に薩摩藩が山稼ぎを制限する政令を出し、年貢や専売品として使われ、また今では国の財産として管理されています。
天然スギの伐採は禁止され、現在流通する木材としては、制限以前に伐採されたものか、倒木や伐採の跡の切り株が腐らずに土埋木(どまいぼく)として残っているものを切り出したものだけとなります。
屋久杉の樹脂分には、外来の細菌やカビなどの侵入を防ぐファイトアレキシンや、防虫作用のあるセスキテルペンが多量に含まれており、天然木独特の香りとともに、抗菌、防虫作用が非常に強いのが特徴で、日本を代表する貴重な木材となっています。